個人の日記を兼ねていますので、アウトドア以外の記述があります。
2006年11月27日(月) |
読書感想「氷に刻まれた地球11万年の記憶」 |
「氷に刻まれた地球11万年の記憶」
著 者 リチャード・B・アレイ
発行所 株式会社ソニー・マガジンズ (2004/5/29)
本書は極寒のグリーンランド中央部の氷帽の頂上を掘りぬいて、氷のサンプルから過去11万年間にわたる地球の気温の変化他を綿密に調べた結果を、読者に分かり易すく紹介しています。
氷一つから、気温・降雪量・風・各種ガス・塵埃、はては太陽黒点の影響まで計測出きるそうである。
この結果は、南極の氷の調査とも一致しており、確度は高いとしている。
科学者は、必要となれば我々素人には及びもつかない方法を考え出して、各種の計測をしているようで、その計測方法も色々と紹介されていて面白い。
本書は、最近11万年間の地球の状態を、氷の研究をもとに詳細に語っており、温暖化ガスとの関連性についても記述されている。最後に、科学者としての地球の今後についての考察も載っており、大変興味深い。
本書は、アメリカでも科学部門で最も権威のある賞を受賞しており、秀作です。
氷河期について
デイ・アフタートゥモローという映画をご存じでしょうか?。テレビでも放映されたので、大勢の方が見たことと思います。内容は「ある原因で地球の気温が急激に下降し始め、北半球が氷河期に突入して行く」と云う内容です。
本書によれば、これはフィクションではなく、過去に定期的に何回も実際に起こっているとしています。赤道地方の熱を極地に運ぶのは、大気の移動(風)が50%で、海流によって残りの50%が運ばれているとされています。
赤道で暖められた海水が北大西洋を北上し、極地方で冷却されて比重が増え深海に沈んでまた赤道に戻る海洋コンベヤーが機能しているためとしています。しかし、極地方で氷山や雪が融けて真水が北大西洋に大量に流れ込むと、海水の比重が小さくなり沈み込みができなくなって、しまいには海洋コンベヤーが停止してしまい、極地方の寒冷化が一気に進むと解説しています。
気温の推移について
本書では、「現在のような安定期は例外中の例外」としています。
上の写真は、本書の沢山のグラフの中から一つを引用しました。
グラフを見て判るように、現在のような温暖な気温が1万年も続いているのは、奇跡としか云いようがありません。
過去には、気温は約1500年周期で極端に上下していますし、現在よりはずっと寒冷でした。気温の下がり方はゆっくりですが、気温が最低から最高に上がるのは、僅か数年間で起こるとしています。
これほど極端に気温が変動すれば、動植物の生息環境も激変し、動物などは数を減らしたり増やしたりしながら、この環境を耐えてきたことでしょう。
しかし、現在の人間にとっては、今でもギリギリの環境で農業を行っていることを考えれば、このような過酷な環境下では少数の人間しか生存できないのではないでしょうか。
何れにしても、このまま温暖化が進んで「デイ・アフタートゥモロー」が近い将来起こるのか、または何らかの自然のスイッチが入って過去の極端な気温の変動状態に突入するのか、このまま気温が上昇を続けて地球全体が灼熱地獄になるのかの予測は、これからの研究に委ねるしかありません。
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