山岳ツアー会社の主催する「定山渓天狗岳 中央クーロアール」ツアーに参加しました。
このコースは積雪を利用した冬季コースで、無雪期は登攀できません。
完全なアイスクライミング装備で、アタックザックを背負って登ります。
4月3日 駐車地点 → 徒渉 → テント場
4月4日 テント場 → 定山渓天狗岳 → テント場 → 徒渉 → 駐車地点
参加人員 ガイド1名 女性1名 男性1名 (合計 3名)
4月3日
16時に国道230号線にある道路情報館で待ち合わせをして、定山渓温泉・豊羽鉱山方面に向かいました。
夏道の橋を利用すると徒渉の必要はないのですが1時間も余分に歩くことになるため、予定ルートの対岸に車を停めて長靴で徒渉しました。
冬季用のテント場よりも少し下の水の採れる場所で、雪崩の心配のない所(雪面)にテントを張りました。20時就寝。
4月4日
4時起床。5時20分出発。
テントから中央クーロアールの取り付き部まではカンジキとストックを使用しました。そこでカンジキ・ストックをデポしてクライミング装備を調えて直ちにロープを使用したクライミングを開始しました。
予想した氷壁はなく総て雪面(雪壁)でしたが、1箇所短い距離ですが岩が露出していてミックス登山を強いられました。
バイルとアイゼンで岩を登るミックスの練習は、過去に赤岩で1回しか経験していなので突破するのに苦労しました。
往路は総てロープを使用したクライミングで、細い部分や急な部分が続き大変苦労しました。私が一番高齢なので常に2番手を登り、女性がビレイ器具を回収する必要のある3番手をつとめました。
私のレベルでは難度が非常に高く、今までの登攀のなかでは一番の難度でした。
途中で1箇所ガイドが無理矢理登った2mの雪の垂壁が突破できず、やむを得ずバイルで雪壁を崩して少し傾斜をつけて何とか突破したこともありました。何しろ30CM横は切り立った崖の稜線上で、自力突破するしかない状態なのでそれこそ必死でした。
山頂到着は13時10分でした。登頂後小休憩して下山にかかりました。最初の部分(1ピッチ程度)は3人がロープを繋いで私が先頭で下りました。
ガイドはこの状態で下山を継続したかったようですが、私から申し出てロープ下降に切り替えてもらいました。足が疲れてきており、転ばずに注意しながら下りるのが非常に負担になると考えたからです。
ストックかピッケルがあればまだ何とかなったのですが、バイルは短いので足の負担軽減の役には立ちません。60mロープ2本を使い5〜6ピッチを下降後、やや緩斜面になった部分から個別に下山してデポ地点に向かいました。
デポ地点からはカンジキ・ストックでテントまで下りました。テント場到着はちょうど16時で、ここまで今日の行動時間は10時間40分でした。
アタックザックを解き大きなザックに荷物を詰め替えて、ガイドの沸かしてくれたお湯でコーヒーを飲んでから車へ向け出発しました。
重たいザックを担いで弛んだ雪面をカンジキで歩くのは疲れます。時々埋まって足をとられるので疲れた足に負担がかかります。
沢部分を歩いているので、急斜面の部分では小さな雪崩の跡が多く見られ、デブリの上を歩いた部分もありました。
1時間程度で徒渉地点に到着しました。
帰路の途中で温泉に入り汗を流してから道路情報館で別れました。
今回は重大な反省事項がありました。
山頂手前の最後のピッチ(10m)の時に、ガイドが山頂まで登りロープを強く引いたら、下のビレイ箇所にいる私のバイル2本がロープに引っ掛かり空中に持ち上げられました。
ロープが崖の上を横断していたので、もしバイルがロープから外れたら崖下に落ちてしまうところでした。
ちょうどそのビレイ場所が滑落の心配のない緩傾斜だったため、バイルの柄を雪にさしてピック(刃)部分が上に露出していたのが原因でした。
ビレイ解除をした際のロープの取扱にも注意が必要でした。急斜面のビレイ箇所では、絶対に落下しないようにバイルのピック(刃)部分を雪面に完全に突き刺すのですが、このときは気が緩んでいました。
GPS軌跡
カシミール3D使用
山旅クラブの地図使用
青線は予定ルート(推定・GPS記録なし)
GPS軌跡
秋に撮影した定山渓天狗岳
中央の一番高い部分が主峰です
GPS軌跡(地図と合成)
主峰の中央稜を登ります
上の写真とほぼ同じ視野で作成しています
往路の途中で撮影
朝日に輝く主峰です。写真では再現できない素晴らしい景観でした
往路の途中で撮影
ビレイ箇所で撮影。ガイドのいる場所までが1ピッチです
こんな場所の連続ですので、卓越した技量のガイドが必要です
手稲山からみた定山渓天狗岳
手前は迷沢山、奥は羊蹄山
向かって左から主峰、2峰、3峰
2峰・3峰には登山道はありません
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